国土交通省は2016年度、空き家対策に取り組む市区町村や民間事業者を支援する補助制度を創設する。16年度当初予算案に「空き家対策総合支援事業」として20億円を計上した。空き家法に基づく対策計画を策定し、不動産業者などと連携して対策に取り組むことなどを条件に、空き家の改修・除却費用などを補助する。16年度の税制改正に盛り込んだ空き家の所有者に対する所得税の特例措置と合わせ、税制・財政の両面で対策を後押しする。
全国に820万戸あると推計されている空き家は、本格的な人口減少社会の到来でさらに増加することが見込まれている。一方、立地が良く、耐震性が確保され、今後も活用の余地がある空き家が全国に48万戸あるという調査結果もあり、空き家を活用可能なストックとして再生する必要性も指摘されている。
国交省は、市区町村の空き家対策を社会資本整備総合交付金の「空き家再生等推進事業」などで支援しているが、同交付金による支援を継続させたまま、別枠で補助制度を創設する。
社会資本整備総合交付金は、地方自治体にとって自由度は高いが、インフラ整備に配分される予算の割合が高い。昨年5月の空き家法が全面施行され、対策に本腰を入れる市区町村が今後増えることが見込まれており、補助制度により、こうした市区町村を財政面で後押しする。加えて、空き家の再生などに取り組む不動産業者など、民間事業者に直接補助金を交付することも認める。
補助の要件は▽空き家法に基づく「空家等対策計画」を策定▽民間事業者などと連携する協議会を設置▽協議会と連携した事業実施計画を策定―など。対象事業は、用途転用のための改修、耐震改修、管理者不在の空き家の除却など。補助率は、自治体向けで全体事業費の2分の1、民間事業者向けで3分の1に国費を充てる。民間事業者に対する補助には、自治体にも総額の3分の1の負担を求める。20年度までの5年間の時限措置として、16年度から制度をスタートさせる。
16年度当初予算案にはこのほか「先駆的空き家対策モデル事業」として新規で1億2000万円も計上した。空き家対策に取り組む市区町村・民間事業者に法務や不動産の専門家に対する委託費を補助する。専門家の助言の下、空き家対策の運用方針を策定してもらう。16年度は10件程度を選ぶ見通しだ。
提供:建通新聞社