国土交通省は、直轄事業の施工時期などを平準化するため、地方整備局などに計画的な事業の執行を指示する通達を送付した。施工時期の平準化を実現するため、工事の完成時期や調査設計業務の履行期限が年度末に過度に集中することを避けた計画的な発注を促すとともに、個別工事でも過去の同種工事の実績などを踏まえて適切な工期を設定するよう求めた。余裕期間の設定範囲は「工期の30%を超えず、かつ、4カ月を超えない範囲」と統一し、積極的な制度活用を指示。特記仕様書などに余裕期間を設定できる工事であることを記載することも義務付けた。
通達は、同省が打ち出した「i―Construction」の一環として、施工時期などの平準化による現場の生産性向上を目的に送付したもの。全都道府県に設置されている地域発注者協議会を通じ、地方自治体にも周知する。
通達では、工事と調査設計を計画的に発注することで施工時期などの平準化を実現することを要請。早期発注に加え、工期などが複数年度にわたる場合に国庫債務負担行為制度を活用したり、当初想定していた工期を変更する必要がある場合に翌債(繰越)制度を活用することを推奨した。
個別工事における適切な工期設定の考え方もあらためて整理。休日(土日、祝日、年末年始・夏期休暇)、降雨・降雪期、出水期などの作業不能日数を見込んで工期を設定した上で、過去の同種工事の工期と乖離(かいり)があれば工期の見直しを行うよう指示した。適切な工期を「年度内完了に固執することなく」設定することも明記した。
契約から工事着手までの技術者配置を不要にする余裕期間制度については、資材や建設労働者を円滑に確保するため、積極的に活用することを求めた。これまで各地整でばらつきがあった制度運用に関して「工期の30%を超えず、かつ、4カ月を超えない範囲内で設定できる」と規定するとともに、発注者指定方式・任意着手方式・フレックス方式の3類型で運用することを明確にした。
また、入札説明書と特記仕様書には、余裕期間制度の活用を認める工事であることを明記させる。技術者の従事期間を「工事実績情報システム(CORINS)」に登録する際には、余裕期間を設定した工事の工期も登録することを新たに求める。
提供:建通新聞社