トップページお知らせ >中央ニュース

お知らせ

中央ニュース

2016/01/03

建設業の構造的課題 基本問題小委で議論

 国土交通省は、杭工事の施工データ流用問題を通じてあらためて浮き彫りになった建設業の構造的な課題の解消に道筋をつけるため、中央建設業審議会・社会資本整備審議会の基本問題小委員会で議論を始める。重層下請構造の中で不明確になりがちな元請けの管理責任や下請けとの施工管理上の役割分担を整理するほか、実質的に施工に携わらない企業を排除する方策も検討する。民間工事の請負契約の適正化もテーマの一つで、設計変更などの協議ルールを明確化することも視野に入れる。
 基礎ぐい工事問題に関する対策委員会は、24日にまとめた中間報告で、適正に設計・施工を行うための体制構築を速やかに実施することを求めるとともに、施工データ流用問題の背景にある建設業の構造的な課題を話し合う『議論の場』を設けるよう提言した。
 国交省は、基本問題創意委員会で杭工事のデータ流用問題で明らかになった課題を整理する。中間報告では、横浜市のマンションで、元請けの三井住友建設が杭工事の1次下請けである日立ハイテクノロジーズ、2次下請けの旭化成建材の主任技術者が現場にほとんどいないことを認識していたにもかかわらず、必要な指導を行わなかったことを問題視しており、施工を統括する元請けの管理責任や下請けの主任技術者の適正配置の在り方も議論のテーマとなる。
 また、1次下請けの日立ハイテクノロジーズが杭工事の大半を2次下請けの旭化成建材に請け負わせていたことも確認されており、重層下請構造の中で、こうした実質的に施工に携わらない企業を施工体制から排除する方策や位置付けも検討する見込みだ。
 また、民間工事では、発注者の事情で工期の制約がある場合でも、それに見合うコストが請負金額に反映されない恐れがあるが、工期変更や追加工事について発注者と元請けが協議するルールが明確になっていない。民間工事における設計変更などの協議ルールとともに、受発注者間の調停役となる中立組織をつくることも検討する。

提供:建通新聞社