国土交通省は、杭工事の施工データ流用がジャパンパイル(東京都)の施工物件で発覚したことを受け、コンクリート杭の業界団体であるコンクリートパイル建設技術協会(COPITA、黒瀬晃会長)に対し、会員企業がデータ流用に関する自主点検を行っているか調べ、19日までに報告するよう指示した。また、すでにデータ流用が判明した物件については、杭の支持層への到達の有無など建築物自体の安全性を早急に確認する。
ジャパンパイルは16日、過去5年間の施工物件約500件を調査したところ、6件でデータ流用を確認したと国交省に報告。
旭化成建材に続き、業界大手のジャパンパイルでもデータ流用が発覚したことを受け、石井啓一国交相は17日の定例会見で「データ流用が業界全体に広がっているとの疑念を深めるもの」とした上で「工事さえしっかりしていればその適正性を証明する書類はないがしろにしてもいいという風潮が業界の中にあるとすれば、ただちに是正する必要がある重大な問題だ」と指摘した。
国交省はCOPITAに対し、会員企業41社(旭化成建材、ジャパンパイル含む)によるデータ流用の自主点検の有無、杭工事の業界団体としての今後の対応などについて、19日までに報告するよう指示した。また、データ流用が判明した物件の安全確認も急ぐ方針で、現地調査を行い、杭の支持層への到達の有無を確認し、建築物のひび割れや傾斜などを調べる。
さらに、COPITAの報告を待ち、旭化成建材とジャパンパイル以外の企業への調査の実施も含め、データ流用問題に対する今後の対応を決める。ただ、国土交通省が設置した「基礎ぐい工事問題に関する対策委員会」の深尾精一委員長は16日の会合後に会見し、調査対象を杭工事全体に拡大することについて「(全棟調査により)建設産業の本来業務に支障がでるのではないか」と述べ、実効性や効率性を踏まえて調査方法を検討すべきとの考えを示した。
提供:建通新聞社