文部科学省が、公立・私立学校など全国の文教機関が保有する煙突用断熱材の劣化、損傷などの状況(2014年10月1日現在)を調査したところ、全国の380機関が損傷や劣化などによって、石綿などの粉じんの飛散・ばく露の恐れのある煙突を保有していることが分かった。同省は「調査中」と回答した5155機関に対し、早期に調査を完了し、その結果を報告するよう求めるとともに、380機関に対し、専門業者などに相談して速やかに囲い込みなど必要な対策を講じるよう要請した。
文科省が15年9月8日までに報告のあった調査結果を集計したところ、公立学校(幼稚園、小・中学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校)は2226機関が石綿含有建材を使用した煙突を保有。うち、損傷や劣化などによって石綿などの粉じんが飛散・ばく露する恐れのある煙突を保有している機関が380あった。
私立学校(大学含む)は、449機関が石綿含有建材を使用した煙突を保有。うち石綿などの粉じんが飛散・ばく露する恐れのある煙突を保有している機関が99あることが確認された。
文科省は14年度に施行された改正石綿障害予防規則第10条が規定する規制対象に、石綿含有保温材などが追加されたことから、学校施設などでの使用状況について把握することを目的としてこの調査を実施した。
煙突に使用された石綿含有建材については、国土交通省が11年度に建築基準整備促進(基整促)の一環で「保温材、断熱材、スレート等のアスベスト含有建材の劣化等に伴う飛散性に関する調査」を実施。その結果、煙突内の石綿含有断熱材が著しく劣化しているケースでは、煙突内部のみならず、隣接する機械室でも比較的低い濃度の石綿繊維の飛散が確認されたことが報告されていた。
これを受けた厚労省は、12年9月に安全衛生部化学物質対策課長名で事務通知(基安化発0913第1号)を発出。煙突内部のみならず、周辺作業場での石綿の飛散の恐れが懸念される場合には、石綿障害予防規則第10条に準じて煙突内の石綿含有断熱材を措置するよう、47都道府県の労働局労働基準部と、日本建設業連合会(日建連)・全国建設業協会(全県)、全国解体工事業団体連合会(全解工連)などの専門工事業団体、不動産協会などへ要請していた。
提供:建通新聞社