環境省は、自然公園における法面緑化指針を策定した。自然公園内で行う開発や工事、自然発生荒廃地や裸地などの法面・斜面に実施する全ての緑化に適用する。生態系、種、遺伝子の生物多様性を保全し、周辺の環境と調和した自然回復を最終目的とする法面・斜面の緑化の実現を目指していく。
指針は、法面緑化の前提条件として、開発工事に伴う自然の改変を最小限にとどめることや、防災上、安定した生育基盤を造ることなど4点を挙げ、施工対象地域内と周辺の植生、対象法面の状態を踏まえた▽緑化目標▽緑化工法▽施工後の管理―などについての計画を策定するよう求めた。
緑化工法については、緑化基礎工を侵食防止効果の高い工法を採用し、生育基盤材には地域の生態系に影響を与えない材料を使用し、外来種の侵入を未然に防止する配慮も促した。
その上で、植生工は地域性種苗を用いて緑化する「地域性種苗利用工」、法面周辺からの植物の自然侵入により植生回復を図る「自然侵入促進工」、工事予定地の表土を採取し、表土中の埋土種子によって植生回復を図る「表土利用工」を基本とすることを明記。
使用する地域性種苗については、施工対象地域での活着が見込める施工対象地域内と、その周辺に生育する草本類・木本類の中から選択することを求めた。
指針は維持管理についても規定。初期緑化目標達成までの間には、生育基盤の侵食や損壊などの状況を点検するとともに、初期緑化目標とする群落形成に必要な植生管理(植生誘導管理)を実施。初期緑化目標を達成した後は、最終緑化目標に向けた植生をモニタリングしながら状況に応じて必要な管理を行うよう促した。
提供:建通新聞社