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2015/10/27

建設企業への貸出金額 投資回復で横ばいに

 建設経済研究所がまとめた「建設経済レポート」で、建設企業に対する国内銀行と信用金庫の貸出金額(2015年3月末時点)が前年同月比で約1000億円程度増加し、長期にわたる減少傾向から横ばいに転じたことが明らかになった。東京五輪やリニア中央新幹線など将来の建設需要の増加を見込んだ設備資金の上昇などが背景にあるとみられる。
 国内の建設投資額は、1992年度に約84兆円あったが、その後急激に減少し、東日本大震災の復旧・復興事業などによる持ち直しはあるとはいえ、近年は40〜50兆円の水準まで落ち込んている。建設投資額の落ち込みを背景とする受注額の減少に合わせ、運転資金需要の減少とともに設備投資の抑制が進み、企業規模の縮小が進んできたと推測される。
 建設業向けの貸出金額も投資額の減少に歩調を合わせて減少傾向にあった。貸出金額は00年3月末には約38兆円あったが、05年3月末には約24兆円まで減少。東日本大震災以降もその傾向は変わらなかったが、15年3月末は約1000億円増の約16兆円とわずかながらも増加に転じた。
 建設経済研究所では建設企業の資金動向が「建設投資額が持ち直している状況下で、前向きな投資に力を入れ始めた過渡期にある」と分析。ただ、建設企業の資金需要に対し、貸し出し増加に積極的に対応する金融機関がでてきたとも考えられる。
 同研究所はレポートで、建設企業が今後の災害復旧や社会資本インフラの老朽化対策などに重要な役割を担うと前置きした上で、「中長期的には地域の担い手不足が懸念されているが、生産性向上に資する技術革新への積極的投資などで、経営基盤を強化する取り組みを加速させることが望まれる」とまとめている。

提供:建通新聞社