石井啓一国土交通相は20日の定例会見で、横浜市の分譲マンションで杭工事のデータ改ざんが発覚した問題で「建築基準法に基づく検査や報告聴取の在り方も含め、点検していきたい」と話した。また、杭工事を請け負った旭化成建材に、全国3000棟の施工物件のデータ改ざんがなかったか、調査結果を22日までに報告するよう指示したこと明かした。
石井国交相は会見で、今回の問題をめぐり「国交省としても、調査が適正に行われるよう主体的に取り組む」として、省内に事務次官をヘッドとする連絡会議を設置。国民の不安を早期に払拭(ふっしょく)する意思を示した。
旭化成建材が施工した杭のうち、現時点では6本が支持層に到達せず、2本の支持層への差し込みが不十分であることが分かっている。同社の発表によると、施工報告書で杭が支持層に到達したことを示す電流計データの転用・加筆、セメントミルクの流量計データの転用・改変があったことが判明している。
石井国交相は、建築基準法の中間検査や完了検査で「結果としてこうした不正が見抜けなかった」ことに言及。原因究明や同法違反の有無を明らかにした上で、検査・報告聴取の在り方を検討する考えを示した。
22日の報告を指示した約3000棟の調査については、不動産業団体や建設業団体に対し「調査に責任を持って協力するとともに、国民の不安の払拭(ふっしょく)のために、さまざまな取り組みを積極的に講じるよう求めていきたい」と述べた。
提供:建通新聞社