建設専門紙を発行する全国の報道機関19社でつくる「地方建設専門紙の会」(山地忠雄会長)は19日、国土交通省土地・建設産業局の三浦逸広入札制度企画指導室長を招き、担い手の確保・育成などをテーマとする講演会を東京・千代田区の東海大学校友会館で開いた。三浦室長は、技能者の処遇改善や建設生産システムにおける生産性の向上などを一体的に進める考えを示した。
三浦室長は、適切な賃金支払いの浸透や施工時期の平準化など、ことし5月の建設産業活性化会議とりまとめに盛った施策を紹介した上で、「やるべきことは見えてきた。あとはどのように実行するかが重要だ」と述べた。
担い手の確保・育成のうち、処遇改善に向けては、適切な賃金水準の確保や社会保険未加入対策を挙げるとともに、「若手技術者が技術を身に付け、自分たちの仕事に誇りを持つことが重要」とした。また、女性技術者・技能者を今後5年間で倍増させるため、「福利厚生や環境面の改善、働きやすさを追求したい」と語った。
処遇改善などと一体的に取り組む建設生産システムの省力化・効率化・高度化については、「現場の省力化・効率化、重層下請構造の改善などを進めることで、競争力のある産業構造にする必要がある」との考えを示した。
建設業を取り巻く現状については、歩切りについての地方公共団体へのフォローアップ調査に触れ、「『歩切りは違法』とのキャンペーンは相当程度の効果があった」とした。ただ、慣例や財政健全化を理由に、設計書金額から減額して予定価格を決定している地方公共団体が存在することを受け、「根絶に向けて取り組みたい」と話した。
最後に、2016年度予算概算要求について説明。就労履歴管理システム構築の推進、担い手3法推進サイクルの創出などを挙げた上で、「地方の生の声を聞きながら取り組む。地方からの情報発信など、皆さんの協力をお願いしたい」と聴講した各紙の代表者らに呼び掛けた。
提供:建通新聞社