国土交通省は、インフラの老朽化対策や災害応急復旧への利用が期待されている「次世代社会インフラ用ロボット」の2015年度現場実証を開始する。28日に新潟県長岡市の信濃川妙見堰で行う水中点検用ロボットの現場実証を皮切りに、国交省が直轄で管理する現場など12カ所を提供し、71社が開発した77技術の実用性を検証する。現場実証で評価の高かった技術を16年度に試行的に導入し、本格導入に向けた品質やコストの検証を行う。
国交省は、労働力不足が懸念される中、老朽化が進むインフラの点検を効果的・効率的に行うとともに、人が近づくことが困難な災害現場の調査・応急復旧での活用を視野に入れ、14年度からインフラ用ロボットの現場実証を始めている。
14年度は、橋梁点検、トンネル点検、水中点検、災害調査、災害応急復旧の5分野を重点分野として、65技術を対象に現場実証を実施しており、15年度も同じ5分野から77技術の現場実証を行う。
28日に妙見堰で行う現場実証は▽水中点検ロボットシステム(応募者=アークジオサポート)▽河川点検ロボットシステム(同)▽自動航行水上電磁波レーダー探査システム(応募者=みらい建設工業)▽3Dレーザースキャナーと水中3Dスキャナーによる維持管理点検技術(応募者=いであ)▽自動航行ロボットを用いた河床の洗掘把握と河川護岸の概査システム(応募者=朝日航洋)▽可変構成型水中探査調査用ロボット技術(応募者=キュー・アイ)―の5社6技術。
いであと朝日航洋が開発した各1件を除く4件は14年度に引き続き現場実証を行う。水中における動作確認を行った上で、堰のコンクリートの損傷や土砂の堆積状況などを実際に調査する。
11月2日には蒲原高架橋(国道1号、静岡市)で橋梁点検に使用するロボットの現場実証を行うなど、12月中旬までに計12カ所で現場実証を行う。現場実証の評価を踏まえ、16年度の試行的導入に向けた評価手法を検討する。
提供:建通新聞社