国土交通省は、3月に公表した直轄営繕工事における「工期設定の基本的考え方」を地方自治体に活用してもらうための「公共建築工事版」を作成する。工期を設定する際の留意点などを自治体と共有し、改正品確法で発注者責務に位置付けられた「適切な工期設定」を公共建築工事全体に浸透させる。21日に開く「全国営繕主管課長会議」の幹事会に出席する都道府県・政令市の了解を得て最終決定する。
工期設定の基本的考え方は、同省の大臣官房官庁営繕部と▽日本建設業連合会▽全国建設業協会▽日本電設工業協会▽日本空調衛生工事業協会―と行った意見交換を踏まえ、3月25日に各地整に通知したもの。
適切な工期を設定するため、調査・設計、工事発注準備、入札契約、施工の各段階で取り組む方策を明示する内容で、例えば、工事発注の準備段階では、建設資材・労働者確保のための余裕期間を設定することや、債務負担行為を活用して複数年度にまたがる工期を設定することなどを要請。
また、設計図書に示され施工条件と現場の不一致が認められた際、適切に設計変更と工事一時中止を行い、その結果として必要な工期変更を行うことも求めている。
直轄の営繕工事に限らず、この基本的考え方を自治体の発注工事にも展開し、公共建築工事全体で適切な工期設定に向けた統一的な見解を共有する。21日の全国営繕主管課長会議幹事会で決定した上で公開し、各自治体に周知する。
幹事会ではこのほか、適切な工期設定と同様に改正品確法の発注者責務に位置付けられた「適正な予定価格の設定」や「適切な設計変更」に向けた国交省の取り組みを報告する。技術職員が不足する自治体でも活用できるよう「営繕工事請負契約における設計変更ガイドラインQ&A」「営繕工事積算チェックマニュアル解説版」「営繕積算方式活用マニュアル改訂版」など、直轄の営繕工事で使用する基準類を再整理し、報告する。
提供:建通新聞社