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2015/10/15

落橋防止装置の溶接不良で有識者委 国交省

 国土交通省は、製作段階で意図的に作業工程を怠っていたことが原因とみられる落橋防止装置の溶接不良をめぐり、原因究明や再発防止策を議論する有識者委員会を発足し、13日に初会合を開いた。座長の森猛法政大学教授は、製作会社と検査会社の不正で溶接不良が引き起こされたことを重く見て「従来の性善説に立った検査体制は通用しないだろう」と主張。発注者と元請けが検査を監視する方向へと検査体制を強化する必要性を強調した。
 落橋防止装置の溶接不良は、国道24号勧進橋(京都府)の耐震補強工事で、元請けとして工事を受注したショーボンド建設の報告で発覚。落橋防止装置を製作した久富産業が溶接作業工程の一部を意図的に怠っていたことに加え、元請けへの納品時に求められる超音波探傷試験を行った北陸溶接検査事務所が過去5年間にわたって不良データを隠蔽(いんぺい)していた可能性があることも明らかになった。
 その後の調査では、国交省と高速道路会社が管理する橋梁で、久富産業の製品を使っていた72橋でも不良品が使われていたことが判明。地方自治体などが管理する199橋でも同社の製品が使用されており、健全性の検査などが行われている。また、静岡県の国道1号久能高架橋で、別の製造会社の落橋防止装置でも同様の不良が見つかっており、国交省は全容の解明を急いでいる。
 有識者委員会では、これらの溶接不良が起きた原因を究明するとともに、再発防止対策を年内にまとめる。現在、落橋防止装置の検査は製作会社が依頼した検査会社が行うことになっており、発注者や元請けの関与を強めることで、再発防止を図ることが想定されている。
 委員からは、「製作会社が検査会社を指名する方式では公正な検査には無理がある」「発注者による抜き打ち検査が効果があるのではないか」「チェックする側の能力の向上も重要」「元請けの品質管理体制などについて、できる限り入札時に提案させることが効果的ではないか」などの意見が挙がったという。

提供:建通新聞社