■由木文彦住宅局長 国土交通省幹部就任インタビュー
国土交通省の由木文彦住宅局長は建設専門紙との共同インタビューで、2015年度末に予定している住生活基本計画の見直しについて「人口減少と高齢化で空き家が急速に増加する時代が来る。(計画の見直しにより)団塊の世代が75歳以上になる今後10年のうちに対策を講じなくてはならない」との方向性を示した。
11〜20年度の住宅政策の基本方針を示す現行の住生活基本計画(全国計画)は、人口減少社会の本格的な到来などを踏まえ、16年3月の閣議決定を目指して見直しへの作業が進められている。
由木局長は「世帯数は人口とともに近く減少傾向に入る」との見通しを示した上で「このことは空き家が自然に増加していくことにつながる」と分析。住生活基本計画を空き家対策と中古住宅市場の活性化を柱に見直す方針を示した。
空き家対策については、昨年成立した特措法に基づき「市町村を中心に本腰を入れて取り組まなくてはならない」と述べるとともに「空き家の8割弱が旧耐震基準で建築されていることを考えると、耐震化やリフォームだけでなく、除却して他用途に転換する判断も求められる」と続けた。
中古住宅市場の活性化に向けては「中古住宅に価格がつき、流通できる環境を整えることが重要だ」と述べる反面、現在の市場を「リフォームを行わないので住宅の質が高まらず、そのために市場に流通しない悪い循環に陥っているのではないか」と問題視。中古住宅の品質を正確に把握するインスペクション(建物検査)などを例示した上で「中古住宅市場を活性化させる施策を積み重ねる努力が必要だ」と話した。