国土交通省は25日、社会資本整備審議会の建築物等事故・災害対策部会を開き、エスカレーターの転落防止対策の検討を始めた。2009年4月に東京都内で発生した転落事故を踏まえ、エスカレーター側面からの転落を防止するためのガイドラインや建築基準を見直す必要性などを議論する。同部会が2016年度中に答申をまとめる。
09年4月に東京都港区の複合ビルで発生した転落事故は、被災者がエスカレーターのハンドレールに後ろ向きに接触し、バランスを崩して転落、死亡したもの。社整審の昇降機等事故調査部会は14年10月、この事故が「エスカレーター自体の不具合や乗り場周辺の安全対策の欠如に起因するものではない」との結論を出していた。
ただ一方で、消費者安全調査委員会はことし6月、エスカレーター側面からの転落を防止するため、ガイドラインを策定して関係する事業者に順守させるとともに、対策が実効性を伴わない場合には法的規制を含めて検討することを国交省に要請していた。
国交省はこの要請を受け、社整審に対策を再度検討することを諮問。社整審の建築物等事故・災害対策部会では、転落防止板・誘導手すりなど具体的な対策の内容に加え、エスカレーター側面の転落防止対策を建築基準法令で規制の対象とする必要性などを議論する。
部会では、日本エレベーター協会をはじめ、大手設計事務所、ビル管理関係団体、商業施設関係団体などにヒアリングを行い、16年度中に答申をまとめる予定だ。
提供:建通新聞社