高齢者世帯の貯蓄現在高は1世帯当たり2499万円(中央値は1588万円)。就業率は主要8カ国で最高の20・8%―。総務省は2014年の各種調査データを基に「統計からみた我が国の高齢者」をまとめた。そこから浮かび上がってきたのは、65歳を過ぎてもなお非正規で働き、健康管理に気を配りながら、旅行やガーデニング(園芸)を楽しむ―そんな「お年寄り」のいまの姿だ。
日本の高齢者人口(65歳以上)は3384万人で、総人口に占める割合は26・7%。いずれも過去最高で、80歳以上人口も初めて1000万人を超えている。
高齢者の就業者数は11年連続で増加し、過去最多の681万人。就業率も10年前と比べ1・4ポイント上昇、主要8カ国で最も高い20・8%となっており、15歳以上の就業者総数に占める高齢者の割合も過去最高の10・7%にまで増えている。妻が高齢者の共働き世帯の割合も5・1%あり、10年前に比べて1・7ポイント上昇している。
高齢無職世帯の消費支出は、世帯主が高齢者の2人以上の世帯の平均と比較して「保健医療」への支出が1・39倍、次いで「その他の消費支出」の交際費が1・36倍となっており、子や孫の世帯への金品贈与が多い。その一方で「住居への支出」の構成比は6・5%、平均に対する倍率は1・05倍にとどまっている。
他方、60歳代世帯の「パック旅行費」の支出金額は、最も少ない30歳未満の世帯の3・2倍にまで増えており、「スポーツクラブ使用料」への支出は60歳代、「健康保持用接種品(サプリメントなど)」への支出は70歳以上の世帯で最も多くなっている。
また、高齢者世帯1世帯当たりのネットショッピングへの支出総額は調査を開始した02年と比べ、この12年間で5倍に増加。電子マネーは29・4%の高齢者世帯で利用されており、調査を開始した08年と比べ2・5倍にまで増加している。
提供:建通新聞社