政府は18日、社会資本整備に関する構造的な課題を解決するための「第4次社会資本整備重点計画」(2015〜20年度)を閣議決定した。太田昭宏国土交通相が閣議後に会見。「社会資本のストック効果を最大化することが基本理念になる」と述べ、ストック効果の高い社会資本整備の実現に向け、集中と選択を図る姿勢を強調した。計画の柱の一つに初めて社会資本整備を担う技能人材の安定的な確保・育成を位置付け、現場の環境改善を図る方針を打ち出した。
計画では、社会資本整備が直面する構造的な課題として▽脆弱(ぜいじゃく)国土▽加速するインフラ老朽化▽人口減少に伴う地方の疲弊▽激化する国際競争―の三つを指摘。
これらの課題を解決するため、社会資本整備によって民間投資の誘発や、生産の拡大を生むストック効果を最大化するとの方針を示した。集約・再編を含めて社会資本の戦略的なメンテナンスを行うことで社会資本の安全性を確保するとともに、既存施設の機能を有効活用する方針を示した。ストック効果の高い事業への選択と集中を徹底し、経済財政と財政健全化の双方に貢献する。
この第4次計画では、ストック効果を最大化した社会資本整備を支える技能人材の安定的な確保を初めて位置付けた。具体的には、建設業許可業者の社会保険加入率を事業者単位で100%にすることや、建設業に従事する女性を5年間で倍増させるなどといった目標も明記した。
さらに、過去の公共投資の急激な減少がダンピングの多発や人材の離職をもたらしたとして、経済規模に見合う公共投資を安定的・持続的に確保することも明記した。
計画には、これらの基本方針に沿った個別施策の数値目標=表=も定めた。三大都市圏の環状道路の整備率を現在の68%から80%、住宅・建築物の耐震化率を82%から95%、緊急輸送道路にある橋梁の耐震化率を75%から81%にそれぞれ引き上げる。また、人口減少・高齢化社会に対応した都市のコンパクトを図るため、150市町村で都市再生特別措置法に基づく立地適正化計画を作成する。
閣議決定を受けて国交省は、全国10ブロックで地方計画を策定し、ストック効果を重視した具体的なプロジェクトを第4次計画に盛り込む。
提供:建通新聞社