女性の積極的な採用、働きやすい職場づくりは必要だが、人材の育成・確保は決して女性だけに限った話ではない―。建設コンサルタンツ協会(長谷川会長)が16日の定例理事会後に行った記者会見では、厚生労働省(労働政策審議会)で女性活躍推進法の施行に向けた省令についての検討が大詰めを迎えていることに関連して、「手段と目的」を取り違えてはならないと自戒する「経営者」としての発言が目立った。
長谷川会長(パシフィックコンサルタンツ代表取締役会長)は「常任委理事会でもこの法律に対応していくことを確認した。会員の女性の採用は確実に増えている。今後、状況を調査するなど協会としての何らかのアクションが必要になってくるかもしれないが(協会としての行動は)法施行後の状況を見て考えたい」と話した。
その上で「人材のダイバーシティ(多様性)という視点から考えれば、決して女性だけに活躍の場を提供すればよいという話ではない。そういう意味では、まだ入口に立ったに過ぎない」との認識を示した。
村田和夫副会長(建設技術研究所代表取締役社長)は「女性から見た社会資本とは何か―という着眼も必要だ。だが、目標と目的とが混同してしまうようなことになってはいけない。われわれのような仕事は(法が規定する内容を)時間を切られて履行を求められることになってはつらい」と述べた。
建コン協が実施した調査(2015年4月)によると、女性技術者の比率は11・5%で、その総数は60歳代の男性技術者と大差のないことが分かっている。女性技術者の管理職は、技術者全体の1・4%にとどまっている。この調査では、会員企業の多くが女性の採用数や、その比率を決めることなく「能力次第で採用する」ことを経営方針としていることも分かっている。
提供:建通新聞社