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2015/09/16

技能労働者処遇改善に本腰

 建設技能労働者の高齢化と今後の大量離職への対応が懸案となる中、鹿島中部支店(片山豊支店長)は入職者の拡大に向けて、賃金改善と休日拡大、職場環境改善を重点施策とする、技能労働者の処遇改善に本格的に乗り出すことにした。賃金については第1段階として10月から、鉄筋や型枠など躯体主職の重点協力会社を対象に、5〜10%程度アップする。また、休日の拡大では、「4週6閉所」の現場を2015年度末までに60%に拡大する。
 賃金の改善に当たり同支店ではこれまでに、協力会社から技能労働者の賃金の現状について情報収集した。その結果、厚生労働省が発表している全産業の平均年収である530万円(12年)との差は平均80万円程度あったという。日本建設業連合会(日建連)は、建設技能労働者の賃金を全産業平均まで引き上げることを当面の目標にしている。同支店もこの目標に沿って改善を進める方針だ。
 まず10月からとび・コンクリート・鉄筋・型枠・左官などの躯体主職の重点協力会社(同支社が永続的な施工パートナーと認定した協力会社)を対象に、第1段階として技能労働者の賃金を5〜10%程度アップする。2次以下の下請けを含め賃金のモニタリング調査も継続する。実際の賃金に反映されない場合は個別に指導し、改善を確実に実施する。賃金の引き上げに伴う15年度の下請け代金の新たな負担額は、年度末までの半年間で1億円強とみている。
 16年度以降、労務不足の顕著な仕上げ職種にも対象を拡大していく考えだ。
 休日の拡大に向けた60%の現場での4週6閉所は、14年度から目標にしており、建築ではすでに目標をほぼ達成した。工期の長い土木は未達成だが、4週6閉所を前提とした工程作成などにより、15年度末までの達成を目指す。工期短縮や生産性向上に有効と考えられる取り組みも同時に推進する。
 職場環境の改善では、温水洗浄便座を備えたハウス型のトイレの設置▽技能労働者が横になれる休憩所▽人数分のロッカーの設置▽喫煙スペースの設置による分煙化―などを行う。「若い世代が誇りを持って働ける環境整備」を進める。
 同支店の片山支店長は、技能労働者の確保に関して、「残された時間は少ない。建設業に追い風が吹いているいま手を打たなければ10年後には生産体制を維持できなくなる」と指摘。「先頭を切って問題解決に取り組んだ結果、鹿島中部支店の現場で働きたいという技能労働者が増えれば、業界全体にムーブメントが波及すると信じている」と話す。
 同支店では今後、発注量の安定化による重層下請構造の改善や、女性技能労働者が働きやすい環境整備、協力会社のニーズに沿った入職・定着・育成支援などもより積極的に推進する方針だ。

提供:建通新聞社