■西脇隆俊国土交通審議官 国土交通省幹部就任インタビュー
社会資本整備や国土政策を総括する西脇隆俊国土交通審議官は9日、建設専門紙の共同インタビューに応じ「ストック効果を重視した社会資本整備がいかに日本の経済成長に貢献できるかが課題になる」との考えを示した。人口減少に伴い、生産人口も減少する中で「中長期的に見ても、社会資本整備が社会全体の生産性向上に貢献できることを見せていく必要がある」と述べた。
東日本大震災をはじめとして、近年頻発する大規模災害を教訓に「あらためて国土の脆弱(ぜいじゃく)性が社会に浸透した」との認識を示すとともに、今後の社会資本整備で社会資本が機能することで生じる民間投資の誘発効果など、ストック効果を重視する方針も示す。「世界に誇れる日本の経済活動を支える最大の要素が、社会資本にあることも継続して訴え続けていく」と話す。
今後の公共事業予算については「社会資本を計画的に整備し、維持していくためには、急激な予算の増減は望ましくない」との考えを示すとともに「一定の投資を維持しなければ、社会資本の機能も維持できなくなり、ストック効果も減少してしまう」と述べ、安定的、持続的な公共投資の確保を訴えた。
社会資本整備を支える建設業に対しては「厳しい環境が続いてきた中で、徐々に活気を取り戻しつつある」として「産業全体を力強い構造に換える好機だ」と呼び掛ける。そのためにも「担い手の確保・育成が最も重要になる」との認識を示した上で、技能労働者の処遇改善、社会保険未加入対策の推進、就労履歴管理システムの構築などの施策を推進する方針を示す。
また、人口減少が進む中で「担い手の確保だけで必要な労働力を確保することは難しい」として、建設業の生産性向上の必要性を訴え「情報化施工、CIMを導入する上でのコストや手間などの壁を官民の努力で乗り越えていきたい」と話した。
【略歴】西脇隆俊(にしわき・たかとし)東京大学法学部卒。1979年建設省入省。国土交通省大臣官房広報課長、総合政策局建設業課長、大臣官房会計課長、道路局次長、総合政策局長、大臣官房長を経て7月から現職。京都府出身。60歳。