■徳山日出男事務次官 国土交通省幹部就任インタビュー
国土交通省の徳山日出男事務次官は建設専門紙などとの就任インタビューで「建設業の業績が緩やかに安定している今だからこそ、生産性の向上に臨まなければならない」と、公共工事の生産性向上に取り組む姿勢を強く示した。情報化施工を例に「施工に限らず、設計や管理を含めた事業の全体プロセスを通して情報化を進めることが重要。発注者の責任として生産性を大きく向上させたい」との見解を示した。
就任に当たり「2年後の消費増税をクリアできる強い経済をつくらなければならない」と抱負を述べる一方で「火山の噴火や集中豪雨も頻発している。国土の安全と成長を果たすことができる道筋をつけなければならない」と話した。
建設業界には「業績が安定し、世間の評価もやや良くなったことをチャンスと捉え、従来から抱えている抜本的な課題に手を付けるべきだ」として、生産性の向上を図るよう求めた。中長期的に担い手が不足する中で「生産性の向上を企業の経営状況を良くしたり、賃金を上昇させることにつなげてほしい」と呼び掛ける。
発注者としては、情報化施工を例に「現場で情報化施工を行うと、わざわざ現場で3Dデータを作り直し、いらない書類まで提出させるといった無駄がある」とした上で「全プロセスで最適化を図らなくては、本当の効率化は実現しない」と生産性向上に向けて現場の改革を進める方針を示す。
これまでの社会資本整備を「足りなければ造るという『途上国型』の姿勢だった」と振り返るとともに「予算制約や老朽化の問題がある中で、既存ストックを賢く使う時期に来ている」と展望。
国交省は、16年度予算の概算要求で、民間投資の誘発などを生むストック効果を重視した社会資本整備を進める方向性を明確にしており「景気を刺激するという従来の考えに戻ることなく、今後はストック効果を切り口とした社会資本整備を貫いていく」と強調した。
東北地方整備局長として陣頭指揮をとった東日本大震災の復旧・復興には「次の5年は単なる復興というより地方創生である。もともと過疎の地域が、震災を経てどう再生していくのか。その答えをこの5年で見つけなければならない」と話した。