国土交通省は、2016年度に建設現場の事故事例を収集したデータベースを構築する。大手ゼネコンや専門工事業者にヒアリングし、実際には事故に至らなかった「ヒヤリ・ハット事例」を収集。建設企業が閲覧可能なデータベースとして整理し、各現場の安全対策に役立ててもらう。
2014年度の全産業の労働災害死亡者は10年度と比べ11・5%減と減少傾向にあるが、建設業は3・3%増と横ばい傾向を脱し切れていない。前年度と比べると10・2%増と2桁の伸びとなる。
建設現場の事故は、同一の職種、同じ原因による「繰り返し災害」が発生する傾向がある。国交省は、事故情報や対策が充分に共有されていないことが要因にあるとみており、データベース構築で業界内で情報の共有化を図る。
大手ゼネコン、専門工事業者から収集する事故情報は、実際の事故発生には至らなかった「ヒヤリ・ハット事例」が中心。収集した事故情報は、専門工事の職種別、作業手順別に分類するとともに再発防止・現場改善事例も合わせて整理する。
データベースの構築に加え、建設企業による現場の事故防止のための啓発教材作成を支援するほか、事故の実例や再発防止策をまとめたテキスト・DVDも作成し、効果的な安全対策の浸透を図る。
同省は、16年度予算の概算要求にデータベースの構築や事故防止啓発教材の開発支援などの経費1500万円を盛り込んでいる。
提供:建通新聞社