国土交通省は、中小・中堅建設企業の担い手確保・育成や生産性向上に向けた取り組みに対する「地域建設産業活性化支援事業」のうち、モデル性の高い事業に上限300万円を支給する「ステップアップ支援」の対象10事業を選んだ。担い手確保・育成に向けては、職人育成学校創設プロジェクト(香川県)や左官山本塾職業訓練校(兵庫県)など地域企業による職業訓練を支援。建築板金プロジェクト(神奈川県)やマンション計画修繕施工協会(MKS、東京都)による多能工育成など、現場の生産性向上を目指す事業も選ばれた。
2015年度に創設された支援事業には、担い手確保・育成や生産性向上に取り組む中小・中堅建設企業などでつくる連携体を対象に、中小企業診断士らの活性化支援アドバイザーが相談を受ける「相談支援」、アドバイザーを派遣する「コンサルティング支援」、経費を支援する「ステップアップ支援」がある。
今回は、上限300万円の経費支援を受けられるステップアップ支援の対象10件を選んだ。担い手確保・育成関連では、香川県の企業グループ(事業管理者・大企建設)による「職人育成学校創設プロジェクト」が選ばれた。病院跡地に開設する全寮制の学校で不登校・引きこもりの若者に教育訓練を行い、建設業の即戦力として育成する。16年4月の開校を目指しているという。
兵庫県の左官山本組を代表とする企業グループは、ことし6月に開設した「左官山本塾職業訓練校」で、グループ内の企業で社員として雇用した左官職人を訓練する。
MKSは、マンションの修繕工事が躯体・塗装・シーリング工事などを一連で施工することを踏まえ、会員企業の技能者を多能工にするための教育プログラムやテキストを作成。三栄コーポレーションリミテッド(神奈川県)を代表とする内装工事業者は、既存の生産設備や人材を活用し、建築金物の製造・設置ができる多能工の育成を目指す。また、山辰組(岐阜県)などの地域建設企業などは、災害現場で使用する排水装置「ハイブリッド・山辰サイフォン」の開発・普及に取り組むとした。
国交省は現在、ステップアップ支援の2次募集を行っており、10月中に支援対象を追加する。
支援対象に選ばれた企業グループは次の通り(かっこ内は所在地、事業管理者)。
▽北海道土木技術開発連携会(北海道、砂子組)▽建築板金プロジェクト(神奈川県、三栄コーポレーションリミテッド)▽マンション計画修繕施工協会(東京都)▽スマホ情報提供システム構築プロジェクトチーム(静岡県、不二軽窓販売)▽YDN(やんちゃな土木のネットワーク)幹事会社連携体(静岡県、藤本組)▽テクノアカデミープロジェクト(愛知県、マツザワ瓦店)▽「ハイブリッド・山辰サイフォン」排水装置として開発・普及連携体(岐阜県、山辰組)▽吹付技術者の育成事業(京都府、平安建設工業)▽左官山本塾職業訓練校開設プロジェクト(兵庫県、左官山本組)▽職人育成学校創設プロジェクト(香川県、大企建設)
提供:建通新聞社