国土交通省は、建設業における女性の入職と定着を図る支援策を2016年度に拡充する。15年度にスタートした「もっと女性が活躍できる建設業地域協働推進事業」を継続することに加え、女性リーダーの育成、女性技能者が働きやすいモデル工事現場の選定、女性活躍に役立つ新商品開発をパッケージ化し、総合的に支援する。2016年度予算の概算要求に総額8000万円を盛り込んだ。
国交省と建設業5団体は14年度、建設の女性技術者と技能者を5年以内に倍増する目標を達成するため、14〜19年度の5年間で官民が連携して取り組む「もっと女性が活躍できる建設業行動計画」をまとめた。
国交省は15年度、この行動計画に沿って、建設業団体や建設企業、行政機関などが連携して取り組む事業に必要経費を支援する「もっと女性が活躍できる建設業地域協働推進事業」を創設。先月8月、支援対象となる12事業を決定した。16年度予算にも前年度と同額の5000万円を要求しており、新たに10件程度を支援する見通しだ。
16年度はこの地域協働推進事業に加え、女性が活躍する現場環境の改善をめぐる課題に対応した施策をパッケージで推進する。各建設企業に、次世代を担う女性技術者をリーダーとして育成してもらうため、経営者向け研修や現場の中核を担う女性技術者向けの研修などを開く。
女性技能者が働きやすい現場の実践事例を建設業全体に浸透させるため、モデル工事現場を抽出し▽仕事と家庭の両立を実現するフレックス朝礼▽女性の作業負担軽減に資する機器▽女性技能者用の託児環境の整備▽現場アドバイザーの派遣―などの必要経費を助成する。
また、他産業のアイデアと建設業で働く女性のニーズをマッチングする「他業種横断プラットフォーム」を構築する。作業服、工具、仮設トイレ、建機などのメーカーを集めたコンソーシアムを設置し、女性活躍に役立つ新商品開発、アンケートへの協力、新商品の試用のあっせん、戦略的な広報などに取り組む。
提供:建通新聞社