国土交通省は、建設業の重層下請構造の改善に向けた実態調査をMCデータプラス(東京都)に委託した。同社は、現場の施工体制管理や労務管理を支援する「グリーンサイト」を運営している。2015年度中に全国の現場約1万件の施工体制を調査し、工種・規模別に下請次数の実態を把握する。同省はこの調査結果を踏まえ、2016年度に下請次数が標準よりも多い現場を抽出し、行き過ぎた重層化が進む要因を分析する。
国交省は、工事量の増減と繁閑に対応する必要があることから、建設業における下請構造は不可避としつつも、一部で10次を超えるような行き過ぎた下請構造が間接経費の増加による生産性の低下、労務費へのしわ寄せ、不明確な施工責任などを招いているとして、重層下請構造の改善に乗り出す構え。
今回委託した調査では、全国約1万カ所の民間建築現場などの施工体制を収集・整理し、工種・規模ごとの平均的な下請け構造や重層化が起きやすい工種・規模などを統計的に把握する。
16年度予算にも重層下請構造の改善に向けた調査費を要求。16年度は、15年度調査で把握した工種・規模別の平均的な下請次数と大きく上回る下請次数が確認された工事を抽出。各現場で下請け契約の内容や重層化の影響などを調査し、重層化が生じる要因などを分析する。15・16年度の実態調査の結果を踏まえ、不要な下請契約や行き過ぎた重層化の回避を促す施策を検討する考えだ。
提供:建通新聞社