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2015/09/01

【連載】第10回建設トップランナーフォーラム(8)

 建設トップランナーフォーラムでは、公募で決まった山辰組(岐阜県)、中村建設(静岡県)、加藤建設(愛知県)、中綱組(青森県)、会津土建(福島県)が各社の取り組みについて事例発表した。

■山辰組 馬淵剛氏
第8回 山辰組・馬淵
 山辰組の馬渕剛常務が紹介したハイブリッド・山辰サイフォン排水装置は、稼働時に電気(燃料)を使わない排水システム。水中ポンプで呼び水を注水後、開発した送水方向切り替え装置(ワイ・ガッチャン)により、サイフォン作用が起動し送水が始まる仕組み。電気量の大幅な縮減が期待でき、燃料補給が課題の土砂災害による天然ダムの排水作業や一般土木工事の水替え工などで効果を発揮する。サイフォンの送水機能を利用した排砂装置、マイクロ水力発電装置の開発にも取り組んでいる。

■中村建設 平田昌宏氏
第8回 中村建設・平田
 中村建設の平田昌宏環境事業部長は、建設残土や汚泥を再利用する流動化処理(LSS)工法の事業状況を報告した。都市型土木工法とあって地方での処理土の出荷量増加は厳しく、同社はこの10年間、工法開発や施工提案を積極的に展開。液状化対策へのニーズも重なって、地下埋設物の埋め戻しなどで実績を積み上げ、工法に対する信頼度は増しているという。水中打設が可能な強みも生かし、福島県相馬市の津波被災地での復興工事では、試験施工を経て正式採用される予定だ。

■加藤建設 大高健太朗氏
加藤建設・大高
 加藤建設の大高健太朗氏は、建設業のイメージアップの一環で、現場監督のユニフォームを一新する事業を紹介した。「まずは見た目」の発想から、地元デザイン専門学校との異業種コラボを企画。事前に会社の特色などを学生に伝え、コンペ方式で作業服と防寒着のデザインを募った。約300点の作品から各1点を選んだ。同社では中部青年建設会議にこの試みを働きかけており、大高氏は「建設業が魅力的な職業となることが夢。スタイリッシュ化に取り組んでほしい」と呼びかけた。

■中綱組 羽賀義広氏
第8回 中綱組 羽賀義広
 青森県の2012年度の試算では、従来の事後保全型からアセットマネジメントによる予防保全型への転換により、今後50年間で約777億円のコストを縮減。有効性を高めるポイントは、@健全度の把握、定期点検と日常点検A橋長15m以上の効率的な維持管理B点検個所の見える化C清掃作業とメンテナンス――ほか全部で7つ。これらは、すべてのインフラに対して同様の効果が期待できる。長寿命化を普及させ、安全で安心なインフラを守り続けることが、私たち建設産業の責務である。

■会津土建 菅家洋一氏
第8回 会津土建 菅家
 産学官の協働により、福島県産木材の活性化を図るCLT事業。5万立方bのパネルを生産するのに15〜20万m3の原木が必要となる。「日本の資源である森林を如何に活用するか」が一番のポイントで、再生可能な資源を使った環境負荷の少ない21世紀型の材料。福島県が先頭に立ち、2020年の東京オリンピックでは「福島県のCLT」を世界に発信する。是非とも、オリンピック施設に福島県産材CLTが利用できるよう、海外への輸出も視野に入れ、着実に一歩ずつ取り組んでいきたい。