国土交通省は、担い手確保・育成や生産性向上を後押しする「地域建設産業活性化支援事業」を2016年度に拡充し、建設業の生産性向上手法の見える化・モデル化に取り組む。支援事業で得られる成果から、生産性向上に効果が高い「ベストプラクティス」を収集するほか、製造業などを参考に「建設業版生産管理モデル」を作成。見える化・モデル化した手法を建設業向けセミナーやオンライン講座で建設産業全体に展開し、中小・中堅建設業に競争力を高めてもらう。
2016年度予算の概算要求に総額2億1900万円を盛り込んだ。
このうち、15年度に創設した地域建設産業活性化支援事業には1億8400万円を計上。15年度と同様に、生産性向上や担い手確保・育成などに取り組む中小・中堅建設業などの相談に専門家(中小企業診断士、技術士など)が応じるほか、モデル性の高い取り組み
に上限300万円を支給する支援措置も講じる。
残る3500万円で、生産性向上のベストプラクティスの見える化や建設業版生産管理モデルの構築に臨む。ベストプラクティスは、支援事業で得られた成果の中から▽作業体制の平準化▽中小企業によるプレキャスト化▽多能工化▽民間工事分野への進出―などを抽出。有識者らの意見やアンケート調査などを行い、対象業種や導入条件(経営環境や施工条件)、導入効果を整理した事例集としてまとめる。
さらに、生産性の向上を地域建設産業や専門工事業者が実践しやすいよう、建設業版生産管理モデルを構築する。製造業などが従来から進めてきた生産性向上のプロセスなどを、建設業が応用できる形へとモデル化する。
生産性向上のベストプラクティスや生産管理モデルを建設産業全体に浸透させるため、セミナーや個別相談会を全国で開催する。16年度下半期にはオンライン講座も開講。オンライン上で試験も実施し、基準点をクリアした者には修了証を発行することも検討する
提供:建通新聞社