東日本大震災からの復興需要や東京オリンピック・パラリンピックによる一時的な需要だけでなく、それ以降も見据えた人材確保対策が必要―。人口減少下での安定成長を目指した雇用政策の在り方を検討していた厚生労働省の雇用政策研究会(座長、樋口美雄慶應義塾大学教授)は中間とりまとめを行い、この中で、人材不足対策が必要な分野の一つに建設を挙げ、「公共工事設計労務単価への労働市場の実勢価格の適切・迅速な反映」などの対策を実施するよう求めた。
研究会は、1990年代以降の経済情勢と労働市場の変化を踏まえ、建設業は技能労働者の高齢化と若年層の減少による将来の担い手不足が構造的な課題になっていると指摘。その上で「インフラの整備や維持管理、災害時の緊急対策・復旧を担う産業である建設業の人材不足は、経済活動に支障を生じかねない」として、20年のオリンピック・パラリンピック開催後を見据えた人材確保対策の必要性を強調した。
特に建設業に若年者が入職しない理由、離職する理由ともに「収入の低さ」が多くの割合を占めているとして、行政に公共工事設計労務単価に労働市場の実勢価格を適切・迅速に反映させるよう要請。若年者の入職を促進するため、座学・実習から就職支援までをパッケージとして実施するなどの取り組みも推進していくよう求めた。
建設業における女性の活躍の促進についても指摘。女性のための教育訓練の充実や、女性が働きやすい現場づくりに向けたハード・ソフト両面での環境整備も促した。
提供:建通新聞社