国土交通省は、2016年度の税制改正要望をまとめた。空き家の発生を抑制するため、旧耐震基準で建築された居住用家屋の相続後に行われる耐震リフォーム・除却工事費に対する所得税控除の特例措置創設を要望。電気事業者などが地下に埋設する電線の固定資産税を軽減する特例措置創設を目指し、無電柱化を進める電気事業者のコスト負担を減らす。
空き家は、毎年約6万4000戸のペースで増加している。空き家になった住宅の76%が旧耐震基準で建築されたものだが、耐震改修や除却には平均で150〜250万円が必要。空き家の相続人が耐震改修工事などを行う際の費用負担が空き家増加の一因になっている。
このため、空き家を相続した所有者が所有者責任を果たす際の税制面での負担を特例措置で軽減する。相続後一定期間内に耐震リフォーム工事や除却を行った場合、標準工事費(上限250万円)の10%を所得税額から控除する。
災害発生時の電柱の倒壊は道路交通を遮断し、緊急車両の通行などを阻害する要因になるが、全国には依然として約3500万本の電柱があり、さらに7万本程度が毎年増加している。
このため、電線管理者が防災上重要な道路で無電柱化を行う際、地中に埋設した電線に対する固定資産税の特例措置の創設を要望。16〜20年度の5年間の時限措置として、地中に埋設した電線の固定資産税を課税標準の2分の1に軽減することを求める。
同省の税制改正要望ではこのほか、住宅取得の初期負担を軽減する新築住宅の固定資産税の減額措置を2年間延長することを求めた。また、耐震・バリアフリー・省エネ改修工事を行った既存住宅に対する固定資産税の特例措置は3年延長とともに、バリアフリー改修と省エネ改修の対象となる住宅をそれぞれ拡充するよう要望している。
提供:建通新聞社