国土交通省は27日、一般会計への要求総額を6兆6791億円とする2016年度予算概算要求を発表した。要求総額に盛り込まれた公共事業関係費は前年度比16・1%増の6兆0093億円で、優先課題推進枠を最大限活用し、前年度要求額とほぼ同額を求める。概算要求では、ストック効果を重視して社会資本整備を推進する方針を明確にし、経済成長を支える公共事業を重点的に進める姿勢を示す一方、公共事業のシステム全体の生産性向上を図る方向性も打ち出した。
概算要求では「東日本大震災からの復興の加速」「国民の安全・安心の確保」「豊かで利便性の高い地域社会の実現」「日本経済の再生」の4分野を重点化することで、国土形成計画や社会資本整備重点計画などを着実に推進するとしている。
民間投資の誘発や生産性向上といったストック効果を最大化する社会資本を重点的に整備する。既存インフラを最大限に活用することに加え、道路の供用の見通しをきめ細かく公表することで民間投資を誘発したり、国際コンテナ戦略港湾・国際バルク戦略港湾の機能強化、スマートICを活用して民間施設から高速道路への直結化などを図る。既存の住宅団地、都市公園、公有財産の集約・再編などにも取り組む方針だ。
ストック効果の重視と連携し、社会資本整備の生産性向上にも取り組む。設計や施工の標準化と情報化を通じ、生産管理システムの効率化と高付加価値化を目指すとしており▽コンクリート施工の効率向上▽工事関係書類の標準化▽成績評定の標準化―の「三大標準化」と位置付ける。工事量の偏りで人員資機材が第1四半期に遊休化しているため、施工時期の平準化にも取り組む。
一方、地方自治体向けの「防災・安全交付金」には1兆2853億円を要求。頻発する風水害・土砂災害、大規模地震・津波に対する防災・減災対策、インフラ長寿命化計画を踏まえた老朽化対策など、地域の総合的な取り組みを集中的に支援する。
地域を支える社会資本整備を支援する「社会資本整備総合交付金」には1兆0574億円を要求する。国土形成計画などで示された「コンパクト+ネットワーク」の実現に向け、再開発事業による医療・福祉・子育て施設などの整備、道の駅の地域拠点化、歩行空間のバリアフリー化などを支援する。
現場を支える技能人材の確保・育成を図るため、技能労働者の処遇改善、女性活用、教育訓練の充実などでも予算を要求。建設業向けでは、就労履歴管理システムの構築、「地域の守り手」を確保するための多様な入札契約方式の導入、地域建設企業における生産管理モデル定着支援などに関連経費を盛り込んだ。
東日本大震災復興特別会計には12・9%増の7398億円を要求する。16年度は「復興・創生期間」の初年度に当たることから、住宅再建、復興まちづくり、インフラ復旧などを加速させる。
提供:建通新聞社