国土交通省は、南海トラフ巨大地震・首都直下地震と水災害に対する防災・減災の2016年度重点対策をまとめた。首都圏で、河川敷道路などを災害発生時の緊急輸送ルートとして活用する「緊急時河川活用計画(仮称)」を策定するとしたほか、大規模地震発生時などの災害対応力の実効性を高めるため、日本建設業連合会(日建連)と各地方整備局が包括協定を結び、連絡体制の強化を図るなどとした。
南海トラフ巨大地震・首都直下地震対策本部と水災害に関する防災・減災対策本部の合同会議を26日に開き、16年度の重点対策を決定した。太田昭宏国交相は会合で「全省が総力を挙げて地震対策と防災・減災対策の充実、強化に取り組んでほしい」と、出席した幹部らに指示した。
国交省は、首都直下地震の発生時に都心を中心に8方向から道路啓開を進め、緊急輸送ルートを確保する「八方向作戦」を進める体制を整えている。八方向作戦で確保された緊急輸送ルートを補完するため、河川敷道路、船着場、立体交差橋梁との接続道路を活用する「緊急時河川活用計画」の策定を16年度から本格化させる。
先行して計画を策定した荒川に続き、16年度は江戸川、多摩川、鶴見川で計画をまとめる予定だ。
災害発生後に、道路啓開や排水作業を実施するための建機・資材・人員の確保を目的に、各地整と日建連の包括協定を結ぶ。包括協定は、すでに東北・中部ブロックで締結されており、そのほかのブロックでも協定締結を急ぎ、広域的な連絡体制を確保する。
また、大規模水害の発生時にインフラが利用できなくなり、社会経済に壊滅的な被害が及ぶことを回避するため「壊滅的被害回避ワーキンググループ」を設置し、対策をまとめる。各地整で関係する企業などにヒアリングを行い、企業活動が停止に追い込まれる急所となるインフラについて、情報共有を図る。
提供:建通新聞社