国土交通省は24日、直轄事業の調査・設計に関する「調査・設計等分野における品質確保に関する懇談会」を開き、2014年6月に試行を開始した「発注方式選定表」と「技術者評価重視型」の試行結果を報告した。発注方式選定表は「測量調査」の選定表を今秋に見直し、現地測量など4業務を価格競争だけでなく総合評価落札方式を選択できるようにする。技術者評価重視型は、適用の判断基準やヒアリングの負担軽減などを検討する方針が示された。
発注方式選定表は、各業務に問われる知識・構想力・応用力に応じ「価格競争」「総合評価方式」「プロポーザル」を選択する基準を明確にするためのもの。2014年度に業務内容と発注方式の対応を明確化する目的で見直され、河川事業、道路事業、地質調査、測量調査の全業務を対象に試行適用されている。
国交省が報告した試行結果によると、選定表の適合率は見直し前よりも7ポイント増の88%に向上。受発注者に対するアンケート調査でも約7割が本格実施すべきと回答。
ただ、測量調査の選定表で、価格競争を選択することになっている現地測量(地形測量)など4業務について「現地の条件が通常の仕様で実施できない場合は総合評価方式が望ましい」など改善を求める意見も聞かれた。このため、これまで価格競争のみを選択することになっていた測量調査の選定表を見直し▽現地測量(地形測量)▽復旧測量▽路線測量▽定期縦横断測量―で総合評価方式も選択できるようにする。
一方、技術者評価重視型は、総合評価方式の「標準型」について、技術提案の作成・審査に要する受発注者双方の負担を軽減するために試行を始めた。価格・技術評価の割合を1対3の案件で、技術評価の50%を占めた「評価テーマ」の配点を取り止め、「技術者の成績・表彰」と「実施方針」の配点に振り分けた。
14年度は、堤防・護岸設計や道路予備設計など5工種・53件で試行。受発注者からは、試行の課題として、実施方針や技術者の過去の実績に関するヒアリングを負担に感じる声が聞かれたため、負担軽減措置など、より効果的な技術者評価の在り方を検討する。また、従来の標準型と簡易型との使い分けの目安となる判断基準を作成する方針も示された。
提供:建通新聞社