国土交通省は、土木工事積算基準で定めている間接工事費の工種区分見直しを検討している。間接工事費の算出に必要な諸経費率は、21の工種区分ごとに定める諸経費率を乗じて算出する。維持修繕工事などで、この諸経費率と施工実態にバラツキがみられるため、工種区分の分離や工種ごとの補正でバラツキを解消することを検討する。2016年度の基準改訂に間に合うよう、結論を出す。
工事価格は、直接工事費、間接工事費、一般管理費等で構成し、このうち間接工事費は、共通仮設費(機械等運搬費、現場事務所等の営繕費、安全経費など)と現場管理費(現場の社員給与、安全訓練費、労災保険等の法定福利費)を指す。
共通仮設費と現場管理費は、いずれも、工事実態調査で決定する諸経費率を直接工事費に乗じるなどして算出する。諸経費率は「河川工事」「河川・道路構造物工事」「海岸工事」など21の工種で規定。例えば、河川工事では純工事費に応じ、諸経費率が14・28%〜38・13%とされている。
ただ、同省の実態調査によると、現行の諸経費率と完成工事で実際に要した間接工事費の一部に乖離(かいり)が生じる傾向が見られたという。特に、維持修繕系の工事にこうした傾向が強く、国交省では同じ橋梁の補修工事でも、工種区分を「道路改良工事」か、「河川工事」で発注するかによって、諸経費率が異なることが要因にあるのではないかとみている。
このため、15年度中にデータのバラツキ要因を詳細に分析した上で、工種区分の分離や工種ごとの諸経費率の補正などが可能か検討、早ければ16年度の積算基準改訂時に対応する。
国交省はこのほか「幅のある予定価格の設定」についても、16年度の積算基準改訂に盛り込む方向で検討している。予定価格に幅を持たせることで、短期・中期的な不調・不落の低減につなげるとともに、受注者の適正利潤の確保にも配慮する。
提供:建通新聞社