文部科学省は5日、「国立大学付属病院施設の防災機能強化に関する検討会(主査、長澤泰・東京大学名誉教授)」を設置した。付属病院の機能や役割、その地域性などを踏まえ、医療を継続して提供していくための防災機能強化や自家発電、受水槽、排水―などの基幹設備整備の在り方について検討、2016年夏ごろをめどに最終報告書をまとめる。
国立大学付属病院は、全国45病院のうち8病院が基幹災害拠点病院に、27病院が地域災害拠点病院に指定されるなど、大規模災害時には地域医療の拠点として機能することが期待されている。
政府の国土強靭(きょうじん)化推進本部が15年6月に策定した「国土強靭化アクションプラン2015」でも「災害拠点病院となる国立大学付属病院において、災害時の用水の確保や浸水対策等を推進する」とうたわれている。
国立大学付属病院の中には、阪神淡路大震災や東日本大震災の教訓を基に、医療提供体制の継続を図る病院BCPの策定や防災機能の強化にすでに取り組んでいる病院もある。
このため検討会では、▽施設の防災機能強化に伴う整備方針の企画・立案を行う立場にある「経営責任者」▽被災時であっても医療を提供し続ける立場にある「医療従事者」▽医療BCPに基づく準備、実行、維持管理を行う「実務担当者」―の三者の視点で先行事例を収集。自家発電、受水槽、通信、排水、ヘリポート、医療ガス―など基幹設備を中心に、防災機能強化の在り方を具体的に提示する。
提供:建通新聞社