国土交通省は、監理技術者・主任技術者の配置ルールなどを定めた「監理技術者制度運用マニュアル」について、マニュアルの解釈を明確化する事務連絡を各地方整備局や都道府県などに送った。事務連絡では、受注者に工事着手時期の裁量を与える「余裕期間」を設定した工事で、契約から工事開始までの期間に技術者などの配置を不要とすることを明記。また、出産・育児・介護などを監理技術者などの途中交代が認められる理由とすることも明確にした。
余裕期間は、受注者の円滑な工事施工体制を確保するため、事前に建設資材、労働者確保の準備を行うために設定する。発注者が余裕期間の設定を認めると指定した工事で、受注者が実工事期間の30%以下の範囲(もしくは4カ月を超えない範囲)で工事着手時期を決めることができる。
国交省直轄工事ではことし4月から、施工時期の平準化を図るために、これまで入札不調に備えて一部の工事で設定していた余裕期間の標準化を図った。これに合わせ、余裕期間を設定した工事における監理技術者などの配置期間の解釈を明確化する。
監理技術者制度運用マニュアルでは、契約期間を基本に監理技術者を専任するよう求めている。事務連絡では、余裕期間を設定した工事については、工事開始日を契約工期の開始日とみなし、契約締結日から工事開始日までは監理技術者などの配置を不要にすると明記した。余裕期間中は、技術者の配置・専任も不要になるとともに、実工事期間に入っても、資材調達や労働者確保などの準備期間中は専任を求めない。
一方、監理技術者などの途中交代については、現行のマニュアルで「監理技術者等の死亡、傷病または退職など」と記載されているが「出産・育児・介護等」の際も途中交代が認められるとする解釈を記載。マニュアルではまた「ダム、トンネル等の大規模な工事で、一つの契約工期が多年に及ぶ場合」にも、監理技術者などの途中交代を認めているが、維持修繕工事などでも、工期が長いケースでは途中交代を認めることを明記した。
国交省は、事務連絡で示した解釈をマニュアルにも反映させる考え。2015年度末にもマニュアルを改訂する予定だ。
提供:建通新聞社