国土交通省は、下請け契約と下請代金支払いの適正化と施工管理の徹底を求める、いわゆる「盆暮れ通達」を建設業団体104団体に7月30日付で送付した。通達は、改正品確法で「受注者の責務」と規定された建設現場に従事する技術者・技能者の労働条件・労働環境の改善を建設業界に求めるもの。元請けが下請けに対し、法定福利費、建設業退職金共済制度に基づく事業主負担額などの諸経費を公共・民間工事を問わず、適切に支払うことを要請した。
土地・建設産業局長名で建設業団体に送付する「下請け契約及び下請け代金支払いの適正化並びに施工管理の徹底について」は、国交省が資金需要が増す夏季・冬季の年2回送付する。
30日付の通達では、改正品確法で受注者の責務と位置付けられた下請け契約の適正化と迅速な支払い、現場従事者の労働条件と労働環境の改善への配慮を前提として、元下関係の適正化を要請。
下請け代金の設定に当たっては、建設業法施行令第6条で定める見積もり期間などを順守し、書面による見積もり依頼の提出を徹底するよう求めた。また、下請け代金の決定に当たり、公共工事設計労務単価を参考とする際には、労務単価に所定時間外の労働に対する割増賃金、現場管理費(法定福利費の事業主負担額など)、一般管理費などの諸経費が含まれていないことに留意することも記述している。
法定福利費を内訳明示した見積書(標準見積書)の提出・尊重による社会保険への加入徹底もあらためて要請。元請けに対しては、4月に改訂された「社会保険の加入に関する下請け指導ガイドライン」を順守し、自社・外注先の技能労働者を必要な保険に加入させることを求めている。
技能労働者の適切な賃金の支払いについては、13年4月以降、3度にわたる労務単価の引き上げに伴う業界の努力で、賃金水準や建設業の担い手確保の状況には改善が見られるものの「未だ十分とは言えない状況にある」と記載。各団体や建設企業が適切な価格での受注と下請契約の締結、重層下請構造の改善などにより、引き続き賃金水準の引き上げに努力することを促した。
提供:建通新聞社