今回は10回目の記念フォーラムということで、地方のトップランナーから事例発表者を公募した。みのり建設(長野県)、山形環境荒正(山形県)、フルージック(岐阜県)、たかやま林業・建設業協同組合(岐阜県)の4者が事例発表した。
■みのり建設 宮坂典利氏
酪農家が処理に困る牛糞を悪臭のない良質な堆肥に変える技術を持つ、みのり建設(長野県富士見町)は、堆肥中の微生物を利用した生ゴミの堆肥化を促進する材料を開発、販売している。
「15年前は公共土木事業が95%だったが、リフォームや外構工事を手掛ける中、家庭菜園や木を植えたいという人が多かったことから堆肥を作った。今では人口20万人の諏訪圏内でJAの次に多く堆肥を販売している」と話す宮坂典利社長は、今後も悪臭が出ない有機資源の再生に意欲をみせる。
■山形環境荒正 須田和雄氏
介護事業、環境ビジネス、林建協働の三つの分野に参入している山形環境荒正(山形県山形市)の須田和雄専務は、いずれも本業との相乗効果があり、新たなビジネスモデルと顧客をつくり、地域の雇用を生み出していると胸を張る。
仕事がないために若者が都会へ流出する現象が各地で続いているが、須田専務は「逆に地方だからできる仕事をつくり、雇用を生むことで町が活性化する」とし、今後も介護事業の拡充や木質バイオマス発電事業などに取り組む考えを示した。
■たかやま林業・建設業協同組合 林俊宏氏
たかやま林業・建設業協同組合の林俊宏副理事長は、欧州型林業モデル林構築を目指した取り組みを紹介した。林建協働の先駆けでもある同組合は先進国・欧州の手法を検証している。林副理事長は欧州型林道(屋根型路盤・素掘り側溝+横断暗渠工)を「高耐久で雨水のダメージもない」と評価。生産性向上に向け、欧州型トラクター式林業機械を自前で導入したほか、ドイツフォレスターを招き勉強会も重ねており「林業と方向性を統一しながら新しい林業を目指す」と意欲を示した。
■フルージック 渡辺祥二氏
温泉で育つドラゴンフルーツ「奥飛騨ドラゴン」を栽培するフルージック(岐阜県高山市)の渡辺祥二社長は「覚悟を決めて農業に取り組んでいる」と話す。建設業から農業分野へ参入したが、現在では建設業を清算し、農業生産法人として農業を営んでいる。
渡辺社長は「地方での挑戦は都市部と比べて知名度も発信力もない。まずは地方のマイナス面を受け入れることが第一歩だと思う。マイナスを逆手に取ることで、新たな価値観や考える時間が生まれる」と強調する。