自民党の「日本版マイスター制度に関する特命委員会」は、高度職業人材の育成を図るため、技能検定の充実や職人の経営力向上などを求める中間報告案をまとめた。技能検定については、産業界のニーズを踏まえ、既存職種の整理統合や一部職種の拡充を提言。政府に対し、必要性が高い職種について、技能検定の公費負担を検討することも求めた。
特命委員会は、ドイツのマイスター制度を参考に、日本に「ものづくり熟練工」を育成する制度を整え、技能者の処遇改善や社会的地位の確立を目指して5月に発足した。
中間報告案では、ものづくり高度職業人材の育成や社会的評価を高めるための仕組みを構築することで、職人が「稼げる」システムを確立するため、法制化を含めた措置を講じるよう政府に提言。技能検定については、既存職種の整理統合を図った上で、必要性の高い職種を積極的に拡充することを求めた。
具体的には、産業界のニーズを把握した上で、技能検定を公費負担で実施できる環境を整備することを提案。試験基準や検定手法についても、各業界団体の意見を踏まえて見直すことを求めた。若年者の受検者を増加させるため、工業高校生をターゲットとする「3級
」を各職種で積極的に設定することも促した。
技能が優れた職人の経営力を向上させる方向性も示し、販路開拓支援、資金繰り支援の充実、小規模企業共済制度の普及促進を図るとともに、1級技能士などを雇用する企業を国・自治体が「WAZAカンパニー」として認定し、支援措置を講じることも提案した。
提供:建通新聞社