国土交通省は、直轄工事の積算作業の簡略化と違算防止を図るため、主要工種以外の工種の積算を簡略化する「(仮称)概略発注方式」を全国で試行する。予定価格への影響が少ない附属物などの工種について、主要な工種に占める価格の割合を算出し、この割合を乗じて積算を簡略化する。併せて「(仮称)概算発注方式」の標準断面型も試行。標準断面だけで概算数量を積算して予定価格を作成する。いずれも着工後の精算変更を前提とする。入札段階の積算を簡略化することで、受発注者双方の積算作業における負担を軽減する。
新たな発注方式を導入する狙いは、職員数が減少する発注者の負担軽減と当初積算の違算防止
にある。入札段階で応札者が発注者に提出する積算関連の質問が1工事で数百件に及ぶこともあり、応札者側の負担軽減を図る目的もある。
概略発注方式は、予定価格を作成する際に対象工事の予定価格の大半を占める主要工種以外の工種について、主要工種に占める割合を乗じて積算、発注したもの。主要工種以外の工種に乗じる割合は明示するため、応札者も入札段階で詳細に積算を行う必要がなくなる。数量などは、従来の積算方式であらためて積算し、精算変更を行う。
一方、概算発注方式(標準断面型)は、詳細設計が完了していない工事などで、標準断面のみで積算・発注する方式。標準断面のみで積算する予定価格は各工事の条件に応じて変わるが、最終的な数量に応じて精算変更を行うため、当初の方式と比べて支払い額に変わりはない。
いずれも、近く初弾工事を発注し、全国の地整で試行する。
「設計業務並行型も検討」
概算発注方式については、設計業務と同時並行で工事を発注する「設計業務並行型」の導入も検討する。工事の発注時は概算発注を行い、着工前の現地精査結果を反映して設計を修正。発注者、施工者、設計者による3者会議で詳細設計をまとめる。現場の施工中も、修正の必要があれば設計業務の中で修正し、工事を完成させる。設計段階から施工者が施工性を検討し、設計に反映させる
「ECI方式(アーリー・コントラクター・インボルブメント)」に近い方式だ。
提供:建通新聞社