今回は10回目の記念フォーラムということで、地方のトップランナーから事例発表者を公募した。まず勝電気工業(青森県)、武佐興産(富山県)、フィディア(鳥取県)、稲田建設(高知県)が登壇した。
■勝電気工業 蛯沢勝男氏
青森県の勝電気工業は、電子機器から発せられる電磁波障害を改善するため、産学連携で電磁波低減技術「eでんき」を開発した。
住宅の引込されている電源部に「eでんき」を接続するだけで、入力電磁波と家電からの電磁波ノイズを浄化し、IH調理器などが安心して使用できるようになる。日本、アメリカで特許も取得済みだ。
蛯沢社長は、これからは電磁波対策をした住宅が必要だと訴え、今後も快適な住環境の創出に取り組んでいく。
■武佐興産 武佐和夫氏
富山県の武佐興産は、空洞化する旧市街地を活性化するため、「コンパクトシティー、建物コンバーシブルで地域再生へ」を掲げ、空いたビル、工場、病院などの再生事業に取り組んでいる。
自動車工場を花屋や陶芸教室に、古いビルをデザイナーズマンションなどに甦らせ、空き家を地域で支える福祉施設へ改修した。
今後も空き病院を高齢者、障がい者向けデイサービス施設に改修する計画があり、空き施設の有効活用で、地域活性化に貢献していく。
■フィディア 福井龍介氏
鳥取県のフィディアは、「サービス付き高齢者向け賃貸住宅」と「不動産証券化」で、「まちなか」の再生に取り組む。
同社がある米子市の中心市街地は、他地域と同様に郊外型の店舗進出、高齢化、商店の閉店などで、市街地の機能や特性が失われつつあり、空き家が目立ち始めている。
そこで、地理的に好立地である市街地で、「不動産の証券化」手法を取り入れ、高齢者向けマンションを建設し、新たなシニア層の居住による、新たな地域活性化を目指している。
■稲田建設 稲田将人氏
高知県の稲田建設は、四万十川源流点の人口減少が著しい津野町にある。そのため、同社は農産物産業の再興を手始めとした雇用創出をめざし、異業種へ進出している。
標高600bの場所に3・5fの茶畑を開拓。また、林業の担い手不足が深刻化しているため、山主に代わり機械化された山林整備を進めている。
今後は、県と大学機関と炭素バイオマス研究、太陽光発電事業に着手するなど、本業の建設業を主とした山奥の町ならではの産業形態構築を目指していく。