文部科学省は27日、学校施設の在り方に関する調査研究協力者会議(主査、杉山武彦・運輸政策研究機構運輸政策研究所所長)を開き、小中一貫教育に適した学校施設の計画・設計における留意事項などについて具体的に解説を加えた「小中一貫教育に適した学校施設の在り方について」の報告書(案)をおおむね了承した。文科省は、この日の会議で委員から要望、注文のあった学校教育でのパソコンやICT(情報通信技術)の導入拡大や計画的なメンテナンス、「(小1〜中3までの)学年差」に対する安心・安全への配慮の徹底―などの視点を加えて加筆・修正した上で、報告書として流通させる。
報告書(案)は、小中一貫教育に適した学校施設の基本的な考え方として▽9年間一貫した教育活動に適した施設環境▽9年間一貫した学校運営に適した施設環境▽地域ぐるみで子どもたちの学びを支える場としての施設環境―の確保の重要性を指摘。
その上で、小中一貫教育に適した学校施設の計画・設計における留意事項として▽計画・設計プロセスの構築▽施設の規模、形態の設定▽施設一体型の留意事項▽施設隣接型・分離型の留意事項▽既存学校施設の有効活用▽地域とともにある学校施設の整備―の六つの切り口から、小中一貫教育に適した学校施設を整備するための計画・設計における留意事項を詳述した。
文科省が実施した「小中一貫教育等についての実態調査(2014年5月1日現在)」によると、小中一貫教育に取り組んでいる学校設置者(市町村)は211、取り組みの総件数は1130件あることが分かっている。
施設の形態は、総件数1130件のうち施設一体型校舎が148件(13%)、施設隣接型校舎が59件(5%)、施設分離型校舎が882件(78%)、その他が41件(4%)となっている。
「今後、小中一貫教育を実施予定または検討中」とした市町村が全市町村の約1割、「国および他市町村の状況を注視している」と答えた市町村も全体の約3割あったことから、文科省は、小中一貫教育を導入する市町村(学校設置者)は、今後もさらに増加していくとみている。
提供:建通新聞社