総務省は24日、災害時に必要な物資の備蓄状況や帰宅困難者の受け入れ対策などに関する調査結果を踏まえ、財務省をはじめとする15府省に対し、改善措置の実施を勧告した。具体的には「備蓄」の目標量の設定と計画的な備蓄、「帰宅困難者」への対応方針の明確化と受け入れ場所・人数の設定、「備蓄物資の保管」の適正化―などを求めた。
同省の調査結果によると、非常時に必要な物資の備蓄状況については、調査した178機関中53機関が食糧・飲料水・簡易トイレ・毛布―の4品目全て、または一部について備蓄の目標量が設定されていなかった。また、4品目の目標量は定めていたものの、178機関中34機関が目標量を満たす時期を確定させていなかった。
帰宅困難者への対応方針についても178機関中39機関が未定で、庁舎管理を行っている69機関中32機関が受け入れ場所を決めていなかった。69機関中49機関は受け入れ可能人数を設定していなかった。
他方、調査した機関のうち15機関は備蓄物資が津波などによって浸水するおそれのある場所に保管していたり、執務室と保管場所が10階以上離れているところも8機関あった。
政府の中央防災会議は、マグニチュード7クラスの首都直下地震が今後30年間に70%の確率で発生すると予測。一方、内閣府は、東日本大震災では首都圏だけで515万人の帰宅困難者が発生したと推計している。同省は、こうした状況とこれまでの教訓を踏まえ、災害時における国の行政の継続性を担保し、帰宅困難者の発生による混乱を防止する必要があると判断、行政評価法に基づく調査、勧告を行った。
提供:建通新聞社