国土交通省は22日、水災害・水資源・沿岸・産業・国民生活などの各分野にまたがる気候変動適応計画案をまとめ、社会資本整備審議会と交通政策審議会の環境部会に提示した。気候変動がもたらす水害、土砂災害、渇水の頻発化、海面上昇などのリスクへの適応策となる。堤防・護岸などの施設計画を将来的な外力の増加に対応できるようにする「できるだけ手戻りのない施設設計」を取り入れたり、災害リスクを考慮した土地利用の工夫などで対応することを求めている。
適応計画は、2013年9月に「気候変動に関する政府間パネル」(IPCC)が、今世紀末までに世界の平均気温が0・3〜4・8度、海面水位が0・26〜0・82b上昇するとの予測を発表したことを受け、今夏に政府全体でまとめる。CO2排出削減などの緩和策を実施したとしても、気候変動の影響を完全には避けられないとして、気候変動による悪影響に備える適応策を盛り込む。
国交省は、水災害、水資源、沿岸(港湾、海岸)、産業・国民生活などの各分野に関する適応計画をまとめ、政府全体の計画に反映させる。
水災害(洪水、内水)に対する適応策としては、将来の海面水位の上昇や外力の増加に対応できる「できるだけ手戻りのない施設設計」を取り入れることを提案。設計流量に気候変動の影響を割り増し、堤防・護岸の新設時点で、用地を多めに確保したり、嵩上げが容易な設計手法を導入する。
港湾でも、将来の嵩上げに伴う荷重の増加を考慮し、構造物の基礎を整備するなど、気候変動に順応できる設計手法の開発を進めるとしている。
土地利用に関しては、都市のコンパクト化を進める際に災害リスクの高い地域の情報を開示し、居住・都市機能の誘導を図る。すでに都市機能・住宅が集積しているが、災害リスクが高い地域では、リスクを軽減するための河川整備、複数都市の共同による下水道整備、民間による雨水貯留浸透施設整備、などを進める方針を示した。
提供:建通新聞社