政府は、工事費2520億円を投じる新国立競技場の計画を白紙撤回した安倍晋三首相の決断を踏まえ、秋口をめどに新たな整備計画を策定した上で、設計と施工を一体で発注する方式を採用して事業者を選定。2020年東京五輪の開催までに完成させる方針を示した。新しい整備計画で競技場の必要条件や総工費の上限などを明示する見通し。
17日の首相決断の後に開かれた記者会見で、菅義偉官房長官が明らかにした。
菅長官は、安倍首相の決断の根拠が、見直しの可否をめぐる下村博文文部科学相の「今月中に見直しを判断すれば、ぎりぎり五輪に間に合う」との返答だったことを説明。また、新しい計画をゼロベースで作り直す中で「極力コストを抑え、実現可能で国民にも祝福されるような計画としたい」と強調した。
その上で「秋口に政府として新しい整備計画を策定する。競技場の必要条件と総工費の上限を決め、設計と施工(を担う事業者)を一体的に選ぶような競争手続きを行う」ことによって、五輪開催までの完成に「間に合う」とのスケジュール感を示した。
撤回前計画のデザインのベースを手掛けたザハ・ハディドアーキテクトや、施工予定者などとの「契約を白紙」にして取り組む。違約金は「JSC(日本スポーツ振興センター)が適切に対応することになる」とした。
撤回前の新国立競技場は延床面積21万9430平方bで、8万人収容。人件費や資材の高騰、特殊な屋根構造などを背景に、総工費が当初の1300億円から2520億円まで膨らんだ。
設計は日建設計・梓設計・日本設計・アラップJV、施工予定者は大成建設(スタンド工区)と竹中工務店(屋根工区)。今月9日にはスタンド工区の一部資材の発注など内容とする業務を契約していた。
提供:建通新聞社