国土交通省が5〜7月の3カ月にわたり、全国8カ所で開いた「ブロック監理課長等会議」で、地方自治体の発注関係事務に改正担い手3法が徐々に浸透していることが分かった。歩切りは、石川県、栃木県、大分県の3県にある全市町村で撤廃したことを確認。それ以前から撤廃していた3県を加えると、少なくとも6県の全市町村が歩切りを撤廃したことになる。ダンピングを防止するための低入札価格調査基準価格と最低制限価格も、新たに2県が県内全市町村の導入に踏み切ったという。
歩切りについては、改正担い手3法の成立後、熊本県、愛媛県、奈良県で県内全市町村が撤廃。いずれの県も、県が主導して歩切りの廃止を市町村に働き掛けた共通点がある。
監理課長等会議で、新たに県内の全市町村の歩切り撤廃が確認された3県でも共通する。石川県は、県内8市町村と個別に交渉し、ことし4月から全19市町村で歩切りを撤廃。大分県、栃木県も市町村を個別に訪問するなどして、完全撤廃につなげた。
低入札価格調査基準価格と最低制限価格は、改正品確法の運用指針で適切な制度の活用を求めているが、2013年9月時点で207市町村が未導入のままだった。これまでも、13府県の全市町村が制度を導入していたが、県からの指導などで新たに3県の全市町村が制度を導入することになった。
このほか、運用指針に盛り込まれた発注・施工時期の平準化については、15年度から本格的な取り組みが始まった直轄工事を参考に対応を検討する都道府県が多数あった。秋以降に各自治体が行う来年度の予算要求を見据え、債務負担行為の設定などを財政部局に求める意欲を見せる都道府県もあったという。
国交省は今後も、監理課長等会議のほか、地域発注者協議会、地方公共工事契約業務連絡協議会(地方公契連)などの場を活用し、改正担い手3法に盛り込まれた統一的な意識を自治体に浸透させ、現場の改善を図る考えでいる。
提供:建通新聞社