国土交通省は、建設コンサルタントと地質調査業者の登録規程の「解釈及び運用方針」を改正する。登録要件の一つである技術管理者の専任で、実務経験の審査に「事前審査」を導入し、登録企業が技術管理者を変更する1年前から配置予定技術管理者の審査申請を認める。また、技術者資格を有さない技術者を技術管理者に充てる場合の大臣認定で、過去に認定を受けた技術者の申請書類などを簡素化できる「既認定」の運用を廃止し、すでに認定を受けた技術者も新規で認定を申請することを求める。2016年7月1日に施行する。
建設コンサルタントと地質調査業者の登録では、技術士などの有資格者を「技術管理者」として専任で配置(建設コンサルタントは部門ごと)しなければならない。
中でも建設コンサルタントの「造園部門」と「都市計画及び地方計画部門」の一部、地質調査の技術管理者には、資格に加え、各業務における一定期間以上の実務経験が必要で、登録企業が技術管理者を変更する際には、配置予定技術管理者の実務経験年数の審査を受けなくてはならない。
現在はこの申請が技術管理者の変更後に行われている実態があり、審査の手続きが長引くと、登録上の技術管理者が不在のまま登録を受けていることになるという。
このため事前審査の仕組みを導入し、退職などによって専任の技術管理者を変更する1年前から審査を受け付けることで、手続き期間中の技術管理者の空白を解消する。
登録規程ではまた、技術士などの資格を持たない技術者でも、一定期間以上の実務経験を国交省が認定することで、技術管理者として専任配置できる制度もある。例えば、建設コンサルタントでは「登録を受ける部門の業務で20年以上(大卒・高専卒)」「登録部門と異なる業務で10年以上」といった実務経験があれば、技術管理者として認定される。
ただ、いったん技術管理者として認定を受けた技術者は、登録企業を退職した後でも「既認定」として扱われ、新たに在籍する登録企業での技術管理者の認定が容易になっているの実状。認定後の技術革新に技術レベルが追い付いていない恐れもあるため、この「既認定」の取り扱いを廃止し、転職した技術管理者はすべて新規の申請と同じ扱いで審査する。
「既認定」の申請はこれまで年間を通じて随時受け付けてきたが、今回の改正を踏まえ7月1〜31日の1カ月間のみ受け付ける形に見直す。
国交省は、登録企業に毎年1度求めている現況報告書の提出時などに、今回の変更内容を周知する考えでいる。
提供:建通新聞社