国土交通省は、改正品確法に位置付けられた「多様な入札契約方式」の導入を支援するモデル事業の対象に、地方自治体5団体を選定した。東京都府中市と清瀬市が市役所庁舎の建て替えにECI方式(アーリー・コントラクター・インボルブメント)とCM方式、水戸市と三重県四日市市が国体開催に向けた体育館建て替えにECI方式、静岡県島田市が市民病院建て替えにECI方式か設計・施工一括発注の導入を検討する。国交省は、7月中旬から公募する支援事業者を各市に派遣し、地域の実情に合った入札契約方式の選択を技術的に支援する。
モデル事業は、改正品確法に位置付けられた多様な入札契約方式を導入する自治体を支援するため、14年度に始まった。支援を希望する自治体を5月に公募し、外部有識者による委員会の審査を経て5団体を選んだ。
2年目となる今回の選ばれたモデル事業には、いずれも各市の首長が公約などにも掲げる大型プロジェクトが並んだ。各市が通常発注する工事の規模を大きく上回ることが想定されるため、発注体制が整っていない自治体もあり、技術的な支援を求める自治体が多かったようだ。
いずれの自治体も、計画・設計段階で施工者が参画し、施工のノウハウを反映した設計をまとめるECI方式を選択肢に挙げたことも今回の特徴の一つ。ECI方式については、昨年度のモデル事業でも愛知県新城市の新庁舎建設で導入支援を受けた。国交省が5月に開いた事業報告会でも、同市の事例が参考になったと回答する自治体が最も多く、関心の高まりが見てとれた。
今回選ばれたモデル事業のうち、府中市と清瀬市は市役所庁舎の建て替えにECI方式とCM方式の複数方式の導入を検討。水戸市は19年、四日市市は21年の国体開催に合わせ、既存の体育館建て替えを計画しており、ECI方式導入の可能性を支援事業者とともに検討する。島田市は、市民病院建て替えにECI方式か設計・施工一括発注が導入できないか、適否を探る。
国交省は、7月中旬にも公募する支援事業者を8月中に決定。2016年3月末まで各市に事業者を派遣し、入札契約方式の検討、事業費算定、工事費積算、入札説明書
・特記仕様書の作成などを支援する。事業終了後は、事業報告会を自治体向けに開くなど、多様な入札契約方式を導入する上でのノウハウを全国の自治体に展開する。
提供:建通新聞社