建設業の人材確保・育成を担当する国土交通省の木暮康二大臣官房審議官は9日、就任インタビューに応じ「中長期的な人材確保・育成に本格的に臨み、建設業が抱える構造的な問題の解消につなげたい」と抱負を語った。「最も重要なことは処遇改善」と述べ、社会保険未加入などを例に「他産業に劣る部分を解消すれば、持続可能な人材確保・育成が図ることができるはずだ」と今後の方向性を示した。
新設された建設業の人材確保・育成担当の審議官に1日付で就いた。これまでは、厚生労働省で長く労働行政に携わっており「私を配置すること自体がメッセージだろう」と捉え「従来の建設業の慣習だけでなく、外からの視点で問題を提起したい」と語る。
就任に当たり、建設業の人材確保・育成を「中長期に展望したい」と強調する。人手不足が叫ばれる現状も「一定の賃金を支払えば労働力が確保できる潜在的な力は建設業にはある」と短期的な課題と捉えているが、「人口構成を見れば将来的に人手が足りなくなるのは明らか」と続け、産業が抱える構造的な問題の解消に本腰を入れる。
一方で「建設産業は魅力的な産業」とも考える。「製造業はまず工場を誘致しなければならない。全国津々浦々で雇用を確保できるのは建設業と介護サービス業だけ」とした上で「生まれ育った場所で働けたり、災害対応などの社会貢献には大きな魅力があるはずだ」と話す。
「若者が十分な賃金を受け取るためには技能を身に着けなくてはならないし、そのための教育訓練も必要になる」と、若者が将来のキャリアを描くことができる環境整備にも取り組む。具体策としては「技能者の質の見える化」を掲げ、見える化のツールの一つとなる「就労履歴管理システム」の構築に向けたコンソーシアムを8月にも立ち上げる考えを示した。
提供:建通新聞社