国土交通省の交通政策審議会に設置された「東京圏における今後の都市鉄道のあり方に関する小委員会」は1日、これまでの議論の成果を「中間整理」としてまとめた。首都圏空港へのアクセス改善については、まず既設路線の改良で対応すべきとの方向性を明記。2020年の東京五輪開催時の輸送力については既存の鉄道インフラで対応できると記述し、五輪開催に合わせた路線整備の可能性を否定した。
小委員会は、00年に運輸政策審議会がまとめた「答申第18号」の期限である15年度中に、今後の東京圏における鉄道整備計画に関する新たな答申をまとめる。
中間整理では、首都圏空港(成田空港、羽田空港)への鉄道アクセスについて、東京圏の国際競争力の向上、観光立国の実現などの観点から改善する必要性を指摘。その際、既存ストックの有効活用を図るため、既設路線の改良で対応する方針を示した上で、既設路線の改良で十分にアクセスが改善しない場合に、新規路線の整備を検討すべきと記載した。
20年東京五輪の開催に向けた、空港へのアクセス鉄道の新規路線の整備をめぐっては、鉄道事業者が複数のプロジェクトを検討しており、大会開催までの暫定開業を検討している事業者もある。ただ、中間整理では、新規路線の開業までに、環境アセスメントなどの事前手続きも含めると10年以上が必要だとして、大会開催までの開業は困難との見解を示した。
五輪開催時の輸送需要の増加に対しても、臨時列車の運行などにより、既存の鉄道インフラで対応が可能だと明記した。
このほか、混雑時の遅延を解消するためには、駅ホームの増設・拡幅や折り返し設備の導入などの対策を講じるよう提言している。
提供:建通新聞社