2014年度の国土交通白書が30日の閣議で配布された。白書では、本格的な人口減少を踏まえ、地方部では雇用の確保による都市の若者や女性を引き付ける地域づくり、都市部では「職住近接」の地域構造への改善が必要と指摘。都市構造をコンパクト化し、ネットワークを整備するすることが、地域経済の循環に好影響を与え、地域内の雇用維持・所得増加にもつながると強調している。
今回の白書は「個性ある地方の創生」に焦点を当て、本格的な人口減少社会における国土・地域づくりについて考察。
東京都の転入超過数が極端に多く、出生率が極端に低い傾向にあるとして、東京一極集中の是正と、出生率が比較的高い地方圏への人口移動を促すことが人口減少のペースを緩めることにつながると訴えた。
人口移動の受け皿となる地方部の地域構造にも着目し、「コンパクト+ネットワーク」の考えを基礎に構造を改善するべきだと主張した。都市の人口密度を高めることが、一人当たりの行政コストの減少や小売業の床面積当たりの売上高の増加などにつながり、地域内の雇用維持と所得増加を図ることができるとした。
具体的な事例として、公共交通の沿線に居住の誘導を図っている富山市を取り上げた。同市では全国平均と比べ、公共交通機関や保育所などの施設周辺に居住が進展しており、生活上の利便性が向上している。また、LRT(次世代型路面電車システム)の導入により、高齢者の路線利用者が増加。これが、交流機会や消費の増加、医療費の削減など、多面的な効果を生んでいると分析している。
提供:建通新聞社