国土交通省は26日、社会資本整備審議会道路分科会基本政策部会を開き、道路の老朽化対策の実施状況を報告した。昨年4月の道路分科会の建議を受けて道路管理者に義務付けられた点検の実施率は、橋梁で7%、トンネルで11%(いずれも5月末時点)となり、いずれも計画値を下回った。橋梁でみると、国土交通省は20%の橋梁を点検済みだが、市区町村は6%と、道路管理者によって対応に差が出た。
道路分科会は、2012年12月の笹子トンネル事故を受け、道路の老朽化対策の本格実施を道路管理者に求めていた。国交省はこの建議を踏まえ、道路法の改正省令を14年7月に施行、橋梁とトンネルの点検・診断を5年に1度実施することをすべての道路管理者に義務付けている。
国交省がまとめた道路管理者の点検実施状況(5月末時点)によると、昨年7月の省令施行以降、全70万6300橋のうち、すでに5万0231橋で点検を実施(実施率7%)。トンネルは1万0896カ所のうち、1209カ所で点検が行われ、実施率は11%となっている。各道路管理者が橋梁10%、トンネル15%としていた点検実施計画の目標をいずれも下回る結果となった。
道路管理者別の橋梁点検の実施率は、国交省が20%と最も高く、高速道路会社の12%、都道府県・政令市の8%、市区町村の6%の順となっている。
第3者被害を防止する観点から、最優先で点検するとしていた橋梁では、「緊急輸送道路を跨ぐ跨道橋」が15%、「跨線橋」が11%、「緊急輸送道路を構成する橋梁」が13%となった。跨線橋については、鉄道事業者との実施時期の調整などで実施率が低くなっている。15年度からは地方整備局が管内の橋梁の協議を一括で行い、前年度の2倍以上の橋梁で点検を行う予定だ。
国交省は点検・診断の義務化に伴い、すべての都道府県に道路メンテナンス会議を設置し、地域一括発注による点検実施の迅速化と効率化を図っていく。14年度に地域一括発注を実施したのは26都道県で、15年度はさらに42都道府県に増加する見込みだという。
提供:建通新聞社